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第五章


<百武彗星を追え!> 1995年1月30日、鹿児島県の百武裕司さんが15cm双眼鏡で、てんびん座に8等級の彗星 を発見したとOAAコンピューターサービス(パソコン通信)で情報が流れた。ただちに確認観 測が行われ、新彗星と確認された。ここまでは通常の確認観測だったが、追跡観測を続けて いるうちに、この彗星は3月24日、地球に大接近する事が軌道計算からわかった。その大接 近時の彗星の明るさは、なんと0等級と、ものすごーく明るい。「エッ、本当かぁ〜!」と驚いて しまった。     2月11日、初めてこの百武彗星を冷却CCDカメラで撮影みると、ボーッとした大きなコマをも     った彗星が写っていた。「これかぁ〜、これが0等級まで明るくなる彗星だ!」これからどんど        ん地球に近づき急激に明るくなっていく。とても楽しみだ。いったいこの百武彗星は、どの様な        尾を我々に見せてくれるのだろうと、ボクはわくわくするような気持ちになった。        3月13日、まだ南に低い百武彗星をボクの愛用の25cmシュミットカメラで撮してみた。だが        途中薄雲がかかってきて露出時間が15分になってしまい満足する写真は撮影できなかった。        明るさは6等星くらいだろう。微かな尾が出ていた。「思ったより尾が流れないなぁ〜」と順調に        明るさを増している彗星だが、尾が長くひいていない。「まだ、太陽から遠いんだ!」このままだ        と、たぶん百武彗星は明るさが0等級まで明るくなるだ 3月25日、あちらこちらに雲があるものの百武彗星が巨大な尾をのばしている姿を 北極星近くに見た。尾は淡いが50〜60度はあるだろうか。ものすごいスピードで地 球を通過している。望遠鏡を覗くと彗星が移動しているのが良くわかり、一日一日見 えている位置が違うのは、宇宙空間を移動していると言う事が良くわかり驚いてしま った。しかし、撮影間もないころ雲が出てきて百武彗星は雲に隠れてしまった。残念!        3月27日、半月の月が出ているにも関わらず、百武彗星は北極星の近くにボーッと明るく輝い        ていた。尾も長く見えている。さっそく撮影にとりかかり、百武彗星は高速で西へ移動していた。        モーターで追尾するのが大変だ。常にモーターを動かし百武彗星の動きに合わせてガイドを行        うのだ。そして夜中ごろ月が沈むとまわりが暗くなり百武彗星の尾がハッキリ見え始めてきた。        どのくらいの尾が見えているのだろう。かみのけ座まで淡い尾が約60度以上も伸びているよう        だ。        4月10日、夕方の北西の空に低く百武彗星が見えている。明るさは以前よりは暗くなってしま        ったが、彗星のコマは大きくダストの尾が伸びて、その姿は以前より彗星らしい姿に変わって        いた。        やがて、この彗星は太陽へ近づき、我々からは見えない位置へ移動して行ったのである。こう        して我々天文ファンを興奮させた今世紀最大?の天体ショーが終わったのでした。

つづく

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